「スタッフ目線」を取り込む人材採用とマネジメント
Series:歯科経営者インタビュー
医療法人社団 星桜会
理事長
田島義久
Yoshihisa Tajima
に掲載されたものです。
- 20代での開業。
- はい、29歳でした。実家は経済的に余裕のある家庭ではなかったのですが、歯科医師だった祖父の影響もあり、奨学金を使って歯学部へ進学しました。家族に早く楽をさせてあげたいという気持ちから、30歳までには開業をと強く決意し、経験を積みました。
- 開業当初から経営は順調だった?
- まさか(笑)。現実は厳しかったですね。開業と同時に、20代の社員と30代のパートの計9名を採用したのですが、年齢や経験の差がチームの中に不協和音を生み、私が若かったこともあってそれをうまくまとめることができませんでした。職場は最悪の雰囲気となり、開業1ヵ月で5名が退職。その穴を埋めるため、残ったスタッフとともに朝から夜遅くまで働きました。人を使うということは本当に甘くないと痛感しました。
- そこから得た採用の教訓は?
- 共に働く立場であるスタッフの目線も採用選考に取り込むことです。私以外にチーフDHにも面接を行ってもらい、当院で健全な人間関係を実現できるかどうかを慎重に検討しています。特に年齢の高い経験者については、20代前半の若い上司に敬意をもって対応できるかという点も、よく見るようにしています。
- その他に大事にしている評価軸は?
- 他人への関心と会話のキャッチボール力です。面接の場で楽しく双方向の雑談ができるスタッフは、患者さんはもとより職場の仲間に対しても思いやりをもって接することができるように思います。実際に、職場の人間関係は今とても良好です。また、開業当初のその件以降、結婚や家庭の事情以外のことを理由とする退職は発生させていません。
- 他に長続きするスタッフの特徴は?
- 仕事以外にも熱中できるものを持っている人ですね。バンドの追っかけでも、ゲームでも何でもいい。エネルギーの傾け方を知っている人は、仕事にも一生懸命に取り組む傾向があるように思います。当法人は週休3日制を導入しており、スタッフには「2日間は思いっきり遊んでもいいから、残りの1日をしっかりと勉強に当てなさい」と話しています。
- 今後の目標は?
- スタッフたちに、多様なキャリアパスを示せるようになることです。そのためには、もっと事業を拡大しさまざまな職務を事業活動の中に生み出していく必要があります。たとえば、DHならば後進指導やマネジメント、DRならばマーケティングや分院経営といった職務を。スタッフ一人ひとりが自分の才能を試せる機会を、もっと広く提供できるようになりたいです。
- PROFILE
- 1977年大阪府生まれ/2002年長崎大学歯学部卒業/大阪府内・神奈川県内の医療法人で勤務医として経験を積む/2007年さくら歯科クリニック開業/2008年法人化/現在、神奈川県内で歯科医院を3軒、整体サロンを3軒運営。
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