本当に役に立つ「失敗学」

本当に役に立つ「失敗学」

畑村洋太郎

株式会社KADOKAWA

本体600円+税

2.5人称で語る「失敗」の価値

「失敗学」は、機械工学における研究から生まれました。研究を重ねるにつれ浮かび上がった、「失敗には法則性がある」という事実。本書はそれをビジネスシーンに落とし込み、失敗への対処法、またその予防法を4つのステップで解説しています。(1)まずは失敗に負けない心を持ち、(2)分析できるノウハウを得る。そして(3)失敗を創造へと昇華し、さらには(4)活用していく。つまり「失敗は成功の母」という言葉を体現する方法が、詳しく示されているといえます。しかし、失敗から何かを生み出すには、まず職場に失敗の体験を有効に機能させるための土壌がなければなりません。今回は本書の中でも、「失敗学」の具体的な運用以前の部分、すなわちその土壌をいかにつくっていくかということに焦点を当てたいと思います。

失敗に押しつぶされず、かつプラスに転換していくには、まず普段からスタッフが「仮想失敗体験」を積み、シミュレーションを行っておくことが重要だと著者はいいます。そのためには失敗が発生した際、情報が減衰化してしまう前に、当事者による生の声を迅速に記録する体制が必要です。発生した事実を、人間が物事を理解する「事象→経過→原因(推定原因)→対処→総括」の順に記述し、職場全体の共有財産としてデータベース化する。そして当事者以外もその失敗を強く実感し、自分事として考える機会を設ける。ここで大切なのは、“2.5人称”の視点を持つことです。それはつまり、当事者・対象者(多くの場合患者様)・傍観者のどれにも属さず、かつすべてを包括した視点です。1人称・2人称では感情が先に立ってしまう。3人称では心理状態における問題を考慮できない。冷静で客観的な観察・判断を行うとともに、当事者・対象者の心情を汲んでこそ、「仮想失敗体験」は正しく機能すると本書は述べています。

“2.5人称”での考え方を実現し、すべての人材が失敗を資源化するための土壌を育てていく。そうして初めて、その資源を創造に変えるというさらに上の段階を目指すことができます。「失敗」の価値を信じ、躓いてもなお挑戦を続けるスタッフ。その存在は、医院の発展を呼ぶ鍵となってくれるはずです。

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