サントリー対キリン(日経ビジネス人文庫)

サントリー対キリン
(日経ビジネス人文庫)

永井隆

日本経済新聞出版社

本体800円+税

一番の“罪”は、何もやらないこと

明治32年、葡萄酒の販売からビジネスをスタートさせた“ベンチャー”サントリー。そして明治40年、三菱財閥の傘下として生まれた“サラリーマン企業”キリン。日本の飲料業界を支えてきた2強の手法・戦略を分析する本書がスポットを当てるのは、「人」です。指揮を執るトップや、現場を駆ける社員個人が、どのように企業風土を育ててきたのか。そのドラマを通じて、両社の人事力・組織力を見ることができます。

注目すべきは、サントリー初代社長である鳥井信治郎の哲学です。創業時より「やってみなはれ」を口癖としていた信治郎は、常時社員たちに挑戦を求めてきました。失敗することよりも、何もやらないことが罪になる。そんな社風だからこそ、一度は諦めたビール事業への再参入を成功させ、それまで若者にはなじみのなかったハイボールをヒットさせることもできたのです。

個人が自由に動き回るサントリーに対し、キリンの特徴は「組織の強さ」。長年日本一のシェアを保っていたキリンは、2001年、アサヒビールに首位を奪われてしまいます。絶対王者であることの余裕が生んだ凋落。それが、キリンを挑戦者に変化させました。都内に点在していた本社機能はすべて一ヶ所にまとめ、コミュニケーションを活性化。戦力が向きを同じくすることによって、新しい取り組みにも高いレベルで臨めるようになります。その結果、クラフトビールの展開や「47都道府県の一番搾り」などのユニークな企画も成功を収めました。

起業家が創造性を持ってさえすれば、ビジネスが面白くなるわけではありません。そのビジョンを現実に即してかなえていく“実務家”の存在も必要であると、本書は述べています。初期のサントリーは「やってみなはれ」精神を貫くことで、社員すべてを実務家へと昇華させ、次々と新たな事業へ取り組みました。また、近年のキリンは、一人ひとりが戦略に参加できる環境をつくり、一体感を育てて勝負に出ました。言わば、組織全体が実務家のような存在になれたのです。そして、強みが個であるか、集団であるかという違いはあれ、両社に共通するのは「挑戦が物を言った」ということに尽きるでしょう。

歯科業界は今、まさに戦国時代。ただ治療するだけでは生き残ることのできない歯科医院を救うカギは、安定に甘んじることなく、挑戦心を抱き続けるスタッフたちです。彼らのエネルギーを、いかに引き出すか。「やってみたい」気持ちを、いかに盛り上げるか。そのヒントを、本書がきっと教えてくれるはずです。

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