古くて新しいパブリック・リレーションシップのあり方

本書は、近年多くの人が知るところとなったコンテンツ・マーケティングをテーマに、その概念、事例、導入手順をわかりやすく説明した内容になっています。大企業のビジネスパーソンにだけ必要な考え方ではなく、むしろ潤沢な資金を持たない中小の事業者にこそ有用な方法論です。しかし、そこで言っていることの本質は決して新しいものではありません。「ドリルとドリルの穴」「車と車のある生活」など、古くからマーケティングを理解するために用いられるこれら例え話の教訓を実践した一つの形態が、コンテンツマーケティングだと言えます。

紹介される事例の中には、有名企業のオウンドメディア（自社広報媒体）もありますが、多くは名も資金もSEOノウハウもない事業者についてです。アメリカのある病院のオウンドメディアの事例は、日本の歯科医院がすぐに取り入れられるヒントに満ちています。読んだその日から取り組める要素の多い内容となっています。

「信頼と期待」が生まれてはじめて、顧客は購入に心が傾きます。見ず知らずの顧客に「信頼と期待」をしていただくためには、その人の人生全体を思う気持ちが必要です。なぜなら、顧客は自分の人生を豊かにしたい、改善したいと願っているのであって、貴院の“一般的に優良”なサービスには何の興味も持っていないからです。歯と口に関する情報を通じて顧客それぞれの人生の文脈に沿うことができたとき、顧客の方から貴院に近づいてくるものです。コンテンツマーケティングは、経済関係の本質に基づいた骨太の戦略だと言えるのです。

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