マーケティングとは「流れの悪い川の治水工事」である

関西が誇る人気テーマパークと言えば、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン（USJ）ですが、その経営が波に乗ったのはつい最近のこと。2001年に開業したUSJはわずか3年で事実上の経営破たんに追い込まれ、長い低迷から抜け出せたのは2010年でした。その復活の仕掛け人が、本書の著者である森岡毅氏です。2010年に森岡氏が大改革を行ってから集客は上昇に転換し、翌年の開業10周年は東日本大震災の影響がありつつも、テーマパークとして日本で初めてハロウィンをテーマパークのアトラクションに取り入れて大成功。2015年には単月の集客数で東京ディズニーランドを抜き、集客数日本一のテーマパークになりました。

なぜ、USJは集客をV字回復できたのでしょうか？　本書ではその答えを「マーケティング」だと記しています。なんだ、そんなことかと思われるかもしれません。しかし、日本を代表するマーケターである著者は、多くの人がマーケティングを理解していないと指摘し、正しい考え方をわかりやすく解説しています。

彼は、消費者が商品を認知して購入し、再購入に至る流れを川の流れに例えています。湖（市場）から下流（売上）へ水を流すには、間の川幅（認知率や購入率など）の拡張が必要です。マーケティングは狭い川幅を見つけ、適切な治水を行うことに似ていると述べています。

歯科業界も、今は医院の都合では成り立たない経営環境にあります。超高齢社会の到来、口腔衛生に対する関心の高まりなど、歯科を取り巻く環境も変化しています。患者は何を求め、貴院は何を提供できるのか？患者と貴院をつなぐ川の流れを、今一度見直す視点を本書は提示してくれるかもしれません。

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