ちょい不良オヤジが語る「歯と青春」

歯にまつわるエピソードが、次から次へと溢れ出す。ユーモアたっぷり。聞く者を決して飽きさせない。パンツェッタ・ジローラモ氏の半生は、歯科と深い縁で結ばれている。「子どものころから、将来はイタリア空軍に入りたいと考えていました。あこがれのパイロット。その仕事に就くには、健康な歯の持ち主でなければいけません」。気圧の変化や食いしばりによって差し歯が破砕したり、上空で歯のどこかが痛み出したら一大事。パイロットという夢に近づくために、定期的に歯科に通い、治療を受けてきたという。

しかし、そんな夢や努力も、思春期の衝動には勝てない。矯正治療が終わらないままイギリスに留学。その際、ちょっとした事件を起こす。「矯正の器具がついている歯では、イギリスの女の子にモテない！」。自意識が暴走し、矯正器具を自分で無理やり取ってしまった。「当時は強いボンドのようなもので接着されていたので、ものすごく痛かった。3ヶ月間の滞在を経てイタリアに帰国。かかりつけの歯医者さんに行ったら、メチャクチャ怒られましたね」。

念願が叶い、年間120名しか入学できないイタリア空軍養成学校に見事合格。もちろん歯のチェックもクリアした。「ところが入学してみたら、思った以上に厳しい訓練が待っていました。これは違うなあ…と感じ、あっさりやめてしまいました（笑）」。その後、キャリアを模索する中機会を得て、1988年に来日。日本の大学で経済学を学んでいたときに、現在の奥様と出会い結婚に至った。「そうしたら何と奥さんの実家は、代々続く歯医者さんだったんです。現在85歳になる義理のお母さんもそう。あの年代の日本女性で歯医者さんって、結構珍しいんじゃないですかね」。

雑誌『LEON』のモデルとして、日本のオヤジたちのセンスアップを牽引し、生き方にも影響を与え続けてきた。モデルじゃなければ何をしていたかの問いに、歯をキラッと輝かせながらジローラモ氏は軽妙に答えた。「歯医者かな。だって、私が通っていた大学には歯学部があったし、お義父さんはその大学の理事だったしね。しかもお義母さんに教われば技術の修得は早かっただろうし、おまけにそのままお義母さんの医院と患者さんまで受け継げる。もったいなかったなあって思いますよ（笑）」。

“歯”にまつわるエトセトラジローラモ氏に質問！

歯科に対しどんな印象を持っていますか？

日本の歯医者は、イタリアに比べてものすごく技術が進んでいると感じています。超音波やレーザーといった先進的な技術を町の歯医者でも備えているし、院内は清潔。親切でキレイな歯科衛生士もいっぱいいる！

幼少時代、歯科に通った思い出は？

子どものときは、歯医者が怖くて仕方がなかった。虫歯も多かったですしね。学校に歯科検診というものはなかったので、家族に怒られながら嫌々通っていました。保険制度の違いもあり、良い歯医者は値段が高いという印象がありました。

最近歯科で受診した診療内容は？

おおよそ月に１回のペースで歯医者に通い、検診やクリーニングをしてもらっています。年齢を重ねていくと、ほら、時々、口臭がキツいオヤジとかいますよね。自分がそうなることだけは絶対に避けたい（笑）。

通う歯医者を選ぶポイントは？

口コミ、評判です。今通っているところも、知人の紹介が縁となって通うようになった歯医者です。ちなみに、義母には診てもらいません。ちょっと高齢になったのと、家族だから診療の順番が後回しにされちゃう（笑）。

医療施設経営についてアドバイスがあるとすれば？

通院する回数がちょっと多くない？って思うことがあります。本当は１回で済むことを、3回に分けて通院させられているような。あれは面倒くさい。忙しい人にとっては、あまり嬉しくないと思うので、１回で済むのであればそういうプランも提案してほしいですね。

PROFILE

1962年生まれ。イタリアのアヴェッリーノ出身。16歳まで地元の有名サッカークラブ、ナポリに籍を置いていた。1988年に来日。明海大学経済学部を卒業。男性ファッション誌「LEON」のモデルを務め、「ちょい不良おやじ」の代表として人気を集める。テレビCMやバラエティ番組への出演、F1やセリエAのコメンテーターとしてなど、幅広く活躍している。

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