生物学者に聞いた 歯・寿命・カミキリムシの話

Series:スペシャルインタビュー著名人に聞く!歯の話

生物学者

池田 清彦

Kiyohiko Ikeda

※この記事は、2015年8月発行のD RECRUITING JOURNAL
に掲載されたものです。

生物学者に聞いた 歯・寿命・カミキリムシの話

カミキリムシのイラストが入ったマグカップ。生物学者、池田清彦氏のお気に入りだ。紅茶を注ぎながら会話が始まる。「爬虫類と違い、哺乳類は永久歯が抜けたらもう二度と生えてこない。歯がなくなれば食物を摂取できなくなるから、それが寿命なんだよね、本来は」。生物学的に見れば、哺乳類の中で人間は長生きをしている方の種類なのだという。それにしても、男性より女性の方が長生きをしているのはなぜなのだろう?「女が繁殖年齢をはるかにすぎて長生きするのは、自分の遺伝子が4分の1入っている孫の面倒を見るためだと言われている。男は女より繁殖年齢が長いので、自分の遺伝子が2分の1伝わる子どもを残したほうが、生物学的には有利だ。だから60歳を過ぎてもまだ若い女の子に興味を持っていたりする。まあ、加齢とともに目、歯、マラがだんだん萎えるので、それが叶わないケースもあるけれども(笑)」。

会話に遊び心がある、と言えば良いのだろうか。一つの質問に答えるにあたっても、必ず知見に富んだ表現が返ってくる。常識にとらわれない柔軟な視点は、聞く者の視界に心地よい変化を与える。研究者としての知的冒険心は、衰えを知らないようだ。「健康のために特段気を付けていることはないね。あえて言うなら、自分の体を理解するってことだと思う。遺伝的な組み合わせによって、生まれたときから一人ひとりの最大寿命は決まっていて、そこには個体差がある。個体差があるんだから、寿命をまっとうするためのすべての人にとって正しい処方があるわけじゃない。人類史上最も長生きをしたジャンヌ・カルマンは122歳まで生きたけど、禁煙をしたのは117歳だった。僕にはタバコは合わないけれど、お酒とは相性がいい。50年間、毎日欠かさず飲んでいるけれども、そのことで病院に通ったという記憶はないね」。

自身の専門であるカミキリムシの研究にも精力的だ。昨年、沖縄県で新種を発見して自分で命名したのが、〝この半世紀におけるカミキリムシ界最大のニュース〟なのだという。興奮が収まらない。「去年の春は海外にも採集に行ったよ。ボルネオの山奥。50キロ圏内に民家が全くない場所にある掘っ立て小屋を拠点に10日間。いやあ、すごいんだよ!」。そう語る瞳は、純粋な虫好き少年のまま。今日もまた、新種のカミキリムシを思い浮かべ、きっと愉快な想像の冒険に出かけているに違いない。

“歯”にまつわるエトセトラ池田清彦氏に質問!

歯科に対しどんな印象を持っていますか?
近は競合医院も多く、本当に大変だろうなあと思っています。技術やコミュニケーション力はもちろんのこと、最新の医療機器もそろえなければならず、資金繰りや経営の手腕も問われているからね。評判も落ちたら大変だし。
幼少時代、歯科に通った思い出は?
子どものころは虫歯が多かったので結構通ったね。好きだとか嫌いだとか、そういった記憶はないなあ。矯正を勧められたことがあって、でも結局やらずじまい。今となっては少し後悔しているね。
最近歯科で受診した診療内容は?
今から20年ほど前に、虫歯と親知らずの治療で。それ以来は特に問題がないので、通院はしていないね。親知らずの抜歯の際に、大量に抗生物質を飲んだのだけど、生涯でその時だけ便秘になったことを記憶しているよ(笑)。
通う歯医者を選ぶポイントは?
最終的には相性の良し悪しということなんだろうね。行ってみないとわからないわけだから、最初は口コミかな。近所の人の評判を聞いて行ってみて、人当たりが良くて技術的に問題なければ、そこに通うんだと思う。
医療施設経営についてアドバイスがあるとすれば?
最近の医者は、データばかりを見ているという話を聞くね。人を見ない。人間には個体差があり、多くの人に当てはまる処方がその人にも当てはまるわけではない。一人の患者と一人の医者の信頼関係があってこその医療であってほしいね。
PROFILE
1947年生まれ。東京都足立区出身。東京教育大学理学部生物学科を卒業後、東京都立大学大学院で理学研究科博士課程生物学専攻単位を取得。山梨大学教育人間科学部教授を経て、早稲田大学国際教養学部教授、山梨大学名誉教授に就任。専門の構造主義生物学分野のみならず、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野に関する60冊以上の著書を持つ。フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」に出演のほか、各種メディアでも活躍中。

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