“強い歯”は大成するアスリートの条件

オリンピック、サッカー、野球、格闘技などスポーツに関する幅広い切り口から、これまで数多くのアスリートに取材を重ねてきた二宮清純氏。一つひとつ確認するような柔らかなその語り口は、静かでありながら力強い説得力を併せ持つ。「アスリートにとって大切な要素は、休養、トレーニング、そして栄養の三つだと言われています。文字通り、体が資本。中でも歯は特に重要です。痛ければトレーニングに集中できないし、おちおちと休んでもいられない。食べてしっかり栄養を取ることもできません」。

さらに、大成するアスリートの身体的特徴の一つとして、“ホームベース型”の顔の輪郭を指摘。歯の働きと関係があると推測する。
「プロ野球でいえば桑田真澄選手、リオ五輪で活躍した体操の内村航平選手もそう。顎が発達していると噛む力が強くなり、それに伴って瞬発力も踏み込む力も強くなるのでしょう。また、マラソンの小出義男監督は『よく食べる、“食が太い”選手でなければ一流になれない』とおっしゃっています。確かに、有森裕子さんも高橋尚子さんもよく食べる。口腔の状態が良くないと実現しません」。

多くのアスリートの強さの要因を分析してきた二宮氏。加齢によって生じる自らの体の変化をも冷静に観察し、向き合い方を変えてきたという。「30～40代のころは、締め切り前の徹夜作業も平気で乗り切れましたが、50歳を過ぎてからは早めに切り上げて早く寝る。そして早く起きて再開するというスタイルに。体の声に耳を傾けながら働くようになりました」。“歯の健康”の重要性も再認識したという。「歯が痛むと、どうしても食が細くなる。肉が食べられなくなったら、筋肉が落ちるという話もあります。体力と歯の健康の間に密接な関係があるのは確かです。この年齢になって定期的に歯科医院にも通うようになり、自宅でしっかりブラッシングを行うなど日常的なケアに努めています」。

東京オリンピックが開催される4年後に、ちょうど還暦を迎える。執筆活動は続けていくつもりだが、そこを一区切りとして“第二の人生”へと新たな一歩を踏み出したい思いがある。「何をするにせよ体は基本。とはいえ、ジムに通ったりするのはあまり好きではありません。体の声によく耳を傾け、自分なりにできることを楽しみながら続けていけばいいと思っています」。

“歯”にまつわるエトセトラ二宮清純さんに質問！

歯医者に対しどんな印象を持ってますか？

今はメンテナンスのために定期的に通っていますが、正直なところ、以前はあまり良い印象は持っていませんでした。痛くなってからようやく足を運ぶような状態でしたから。痛みと機械音、そんなイメージを抱いていました。

幼少時代、歯科に通った思い出は？

学校の歯の検診で虫歯と診断されて、地元の歯科医院にいやいや通わされましたよ。良い思い出なんて一つもない（笑）。今でこそ丁寧な応対は珍しくなくなりましたが、当時の歯医者と言えば、ガーッとやられ、アーッて感じのイメージでした！

最近歯科で受診した診療内容は？

メンテナンスのために定期的に通っています。歯磨きが下手だと言われまして（笑）、しっかり教わり自宅で実践しています。50歳を過ぎ、あらためて歯の大切さを実感しています。もっと早くから気づいていれば…とも思います。

通う歯医者を選ぶポイントは？

仕事柄、多くの時間を割けるわけではないので、短い時間で手際よくやってもらえるところ、ということになるでしょうか。今通っているのは、この事務所の近く。特に調べるでもなくぱっと入ったところです。変えるつもりもありません。

医療施設経営についてアドバイスがあるとすれば？

経営ではないのですが、国の社会保障のあり方、国民皆保険制度の今後について不安を抱いています。このままでは制度を維持することは難しい。鬼手仏心ではないですが、政府や政治家は維持するために多少国民に厳しいことを言う必要があるのではと思っています。

PROFILE

1960年、愛媛県八幡浜市生まれ。スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。オリンピック、サッカーＷ杯、メジャーリーグ、ボクシング世界戦など国内外で幅広い取材活動を展開。東北楽天ゴールデンイーグルス経営評議委員。日本サッカーミュージアムアドバイザリーボード委員。テレビのスポーツニュースや報道番組のコメンテーター、講演活動と幅広く活動中。

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