体操は“魅せる”仕事 その美学は今も生きている

1988年のソウルオリンピックで見事メダルを獲得。当時の池谷幸雄氏は18歳。高校3年生による快挙が国民を大いに沸かせた。「そのころ、若い選手が表舞台に立ち、メダルを獲得するケースはそれほど多くありませんでした。今でこそジュニア期から始め、比較的早い段階でピークを迎える選手も増えてきましたが、まさに僕たちがそのハシリだったように思います」。同級生だった西川大輔選手とともに、その爽やかでTV映えするルックスも人気に拍車をかけた。「体操は、フィギュアスケートと同様〝魅せる〟競技。ビジュアルは無視できない要素の一つです。普段の身だしなみや立ち居振る舞いにも気を使っていました」。

22歳のとき、これまでの競技人生に終止符を打ち、第二の人生のステージとなる芸能界へと足を踏み入れた。自らを〝魅せる〟という点では共通する部分もあったが、これまで身を置いてきた体操の世界とは決定的に違うところもあった。「体操という競技は、絶対に失敗が許されません。失敗した時点ですべてが終わってしまいます。ところが芸能界においては、逆に失敗がうけ、成功につながるケースもあります」。

さらにこの二つの世界は、「評価」に対するアプローチがまったく違うともいう。「体操は必ず点数が算出され、順位という形で評価されます。きちんと積み重ねてきた練習や準備が結果となって現れます。一方、芸能界ではそもそも誰がトップとか、どれだけ点数を持っているかなんてわかりません。芸事を磨いたからと言って、必ず売れるわけでもなかったりする。思わぬところで話題になったりと、捉えどころがありません。その捉えどころのなさが難しくもあり、面白くもあります」。

人生を深めてきた今、あらためて体操界にも熱いまなざしを向ける。「池谷幸雄体操倶楽部」を経営し、若い体操選手の発掘と育成に取り組んでいる。「東京オリンピックが、体操界に限らず、スポーツ界全体にとって追い風となっているのは確かです。競技者に対して世間がさらに注目するようになってくれれば、これまで以上に彼らもやりがいと自信を持って自分の競技に打ち込むことができる。競技人口のすそ野だって広がると思うんです。多くの子どもたちが、もっと身近にスポーツを楽しめる機会と環境を作ることが、今の僕の夢。そこから育った選手が、いつか大舞台で〝魅せる〟活躍をし、僕が獲得できなかった金メダルに輝く日が来たなら、この上ない喜びです」。

“歯”にまつわるエトセトラ池谷幸雄氏に質問！

歯科に対しどんな印象を持っていますか？

幼いころは、歯医者さんが嫌いで嫌いで（笑）。現役時代には、奥歯でしっかり咬みしめられるかはとても大事だったので、自ら進んで検診に通いました。今は、子どものときほど抵抗なく通えていますね。

幼少時代、歯科に通った思い出は？

僕は覚えていないのですが、幼稚園児だったころは、歯医者に行くと言うとバタバタ暴れてひどかったようです。とにかく注射が嫌い。歯科医院独特のあの匂いも嫌い。嗅覚が敏感なので、もう頭が痛くなるくらい苦手でした。

最近歯科で受診した診療内容は？

ホワイトニングとクリーニングに関してはメンテナンス専門の歯科に定期的に通っています。咬む力が強く、奥歯の被せ物が欠けたり歯が削れたりするので、その治療には別の信頼している歯科医院に通っています。

通う歯医者を選ぶポイントは？

とにかく、痛くない！というのが基本（笑）。最新の医療機器がそろっているかどうかも気になりますね。これだけテクノロジーが進歩しているのですから、医療機器も最先端の方が正確だし、痛みも少ないのではないでしょうか。

医療施設経営についてアドバイスがあるとすれば？

自分の状態について、どこがどうなっているのかをわかりやすく説明してもらいたいです。どんなに悪い内容でも、自分の体のことは正しく知りたい。ちゃんと理解すれば、自分なりに予測を立てて対策を考えられますし、気持ちの準備もできるからです。

PROFILE

1970年生まれ。東京都府中市出身。大阪府大阪市淀川区育ち。4歳から体操を始め、ソウル五輪、バルセロナ五輪でメダルを獲得。引退後は、タレント・スポーツキャスターとしてTV番組に多数出演するほか、ラジオ・雑誌・CMなど幅広い分野で活躍。現在は「池谷幸雄体操倶楽部」を設立し、後進の指導にあたっている。また全日本ジュニア体操クラブ連盟専務理事として、体操界の発展と向上のため、普及活動にも積極的に取り組んでいる。

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