“虫歯”に“ダチョウの抗体”を使うと、想像したことはありますか？

ジビエが人気を博したことにより、国内でもさまざまな種類の肉を食べられるようになりました。その中で今評価を高めているのが、ダチョウです。鳥類には珍しいその赤身の肉は牛肉のようでありながら、鶏肉よりも低カロリー。ビタミンや鉄分、筋肉へのエネルギー供給を増大するクレアチンも豊富に含まれており、味だけでなく健康食としての面からも注目されています。

しかし、ダチョウの魅力はそれだけではありません。ダチョウの卵は鶏卵よりもアレルゲンが少なく、また肉についても、犬や猫のアレルギーケアをするためのペットフードとしてすでに利用されています。さらに、60年もの寿命を持つダチョウは感染症に対する高い免疫力を有しており、京都府立大学の研究では、ダチョウの卵黄を使ってさまざまなアレルギーやウイルスへの抗体を作成できることが明らかになりました。インフルエンザ、アトピー性皮膚炎、そして花粉症。現在は、がんやエボラ出血熱、さらには脱毛症や虫歯にいたるまで、あらゆる疾病に対する効用への研究が進んでいます。

ご存知のとおり、ダチョウの卵はその大きさが特徴。そのため、一つの卵から鶏卵の約30倍もの抗体を生産できるというメリットがあります。採取された抗体は、医薬品としてだけでなく、マスクや化粧水、クリーム、そして飴など、幅広い商品に利用されています。さらにダチョウは草を主食とするため、穀物で飼育する牛に比べて生産コストが約5分の1。安価に育てられ、かつ食肉以外の利用価値も持つダチョウは、飼料をほぼ輸入品に頼っている日本の畜産業にとっても無視できない存在となるはずです。世界一大きく、そして「万能」な鳥が、近い将来、私たちの生活を変えてくれるかもしれません。

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